*読み難そうな漢字には、オンマウスで読みが出るようにしてあります。*

093: かの人のため






 何本ものナイフを使ってジャグリングをしてみせるアレンを、リナリーは些か呆気に取られた様子で眺めていた。本物のナイフを捌いていく両腕の動きに淀みは無く、鮮やかなものだ。
「ホントに上手ね、アレン君」
「昔いっぱい練習しましたから」
 腕を弛ませナイフを全て受け止めて、アレンは得意げに言う。
 感心し笑ってくれた客達。手渡され集まっていくお金。ありがとう、助かるよと頭を撫でてくれた養父。
 もう、彼の人はいないけれど。
「嬉しかったから、たくさん練習したんですよ」
 アレンはふわりと笑んだ。





  了


 DG話第1弾。
 アレンがお金稼ぐの好きな理由。決して師匠のためではありません。己の身の安全は…多少あったかも。
 それにしても短。

(2005/12/09 UP)

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