*同題SS紡時*
※ツイッターにて参加させて頂いている、同題SS紡時版です。企画詳細はこちら→同題SS紡時
貧乏症なので、投稿したものや、文字数overで投稿を諦めたものなんかも集めてみました。
ツイッターでの投稿時は改行とか一切ありませんが、ここでは読みにくいので適当に改行してあります。
脳内トル主なので、そんな感じのSSがかなり多いです。タイトルクリックで本文出ます。
タイトル表記は〈人物orCP/お題〉 (↑new/old↓ *=new) (2013.08.03 last up date)
* 主とトルワド/影
凪いだ湖の上を雲の影が滑るように移ろう。
己の中も凪いでいればいいのに、との思いが湧き上がり彼は眉をひそめた。
凪を望みながら、思考は徒らに空転する。
進むべき先はどこか。
本当にこの道は正しいのか。
…僕は。
「道に悩んだ時は声に出した方がいい。
それは君が一人で悩むものでもないよ《
* レネフェリアス/沈黙
遠く聞こえていた戦いの音が途絶えた。
そうすると、耳が痛くなるような静寂が、広大な内部に満ちた。
もとより人払いをした森羅宮の最奥部、彼が身動ぎしなければ衣擦れの音すら無い。
傍に何者の姿も無く、ただ独り。
佇む白き聖皇は碧の双眸を静かに上げた。
最終戦直前、たった独りで紡主たちを待つレネさま。
* トル主/眠り
かくりと首が落ちてぎゅうと眉が寄る。
億劫そうに持ち上げられる目蓋。
その表情が常より幼くて笑みを漏らせば、彼がハッと顔を上げた。
「ごめんなさい…! 折角のお茶を!《
「大丈夫だよ。少し寝るといい《
茶器を取り上げ、目元を手で覆ってやる。
あんな可愛い顔はこの手の中だけで。
さりげに独占欲出してるワドさん。
* トルワド/闇
僅かな光の先を覆う闇を見る。
松明の光が届くのは丁度己の間合い程。
光ある故にその闇は却って深く、密やかに着実にその裾を伸ばす。
その、向こうで。
…今夜も何処かで、怪物が闊歩しているのだろうか。
それならばここへ来い。
この喉元へ。
脇目も振らず。
そうすれば屠ってやろう。
その為の剣だ。
企画は終わったけど、お題は公開されたままですし、
書いてないお題もあったので、気が向いた時に埋めていくことにしました。
* 主/夢
母と百年目という目標の元磨いた剣。
それを掲げ、仲間と共に切り開いた未来。
その先に想像もし得なかった夢を見つけた。
鍛えた剣は僕を支える柱となり、仲間を守る力となった。
剣と仲間、二つがあればどんな困難と向き合ってもきっと僕は越えていく。
…今、僕らは旅立つ。
最終日連投その3。
どうにか最後っぽいものを、と捻り出しました。
夢の先へ。
* トルワド/夢
彼が切り開いた世界を旅し、仲間とこの地を拓いた。
信頼した女性と家庭も作った。
子孫の中に…彼の欠片を探した。
彼の魂はあるかと夢想した。
一度だけそれを親友に零したら、淡く笑ってバカだねと言われた。
懐かしい君。
これから見る夢で、君に今一度逢えるだろうか。
最終日連投その2。
通常EDで、紡主を探し続けながら、開拓地で死を迎えるトルワドさん。
* ルルサ/夢
奇妙でめまぐるしい戦いには正直付いていけない時もあった。
しかしどのみち彼女に出来るのは、彼らを笑顔で出迎え、美味しいご飯を作り、見守り、再び送り出す事だけだった。
今も、新たな夢に旅立つ彼らの目映い姿を送り出す。
「いってきます、ルルサさん!《
「行っておいで《
同題企画最終日だったので頑張って連投しました、のその1。
* リュセリとイリア/運命
彼女の半生は激動と言えるものだ。笑顔からは想像出来ぬ程。
「イリアは凄い《
リュセリの言に彼女は首を傾げる。
「辛くて悲しい事きっと一杯あったのに笑ってる。
…ごめん軽々しく《
「皆自分の運命を必死に生きてるだけですよ。
貴女も恐くても痛くても今を戦い笑ってる。ね?《
生まれた街を失って、養父はテロリストとなり、育った里ですらも失い掛けた。
結構激動の半生だけど、フェザードライフもっふもふして笑ってる。すごいね。
* トル主/運命
あの奇妙な戦いは確かに何か大きな流れの中にあった。
でも星も真の時代樹も誰かの思惑も、僕は知らない。
ただ、運命と呼ぶなら。
僕の吊に血に剣に常に寄り添っていた影、英雄トルワドに出逢えた事を。
逢う筈のなかったあの人の強さに笑顔に温かさに触れられた事を、僕は運命と呼ぶ。
運命なんて知るかこんちくしょう、ていうノリでした。
* ジーノ/泣く
姉貴は魔術師になると決めた日から、それをやめると言った事は無い。
だるい眠いと言いながら。
…時折血の気の失せた顔をしながら。
そういえば泣いた事はないな、と思ったけど一度だけあった。
帰るなり部屋に閉じ篭り、声を上げて泣いていた。
あれは初めて谷へ修行に出た日だ。
ミュラジノ姉弟話その2でした。
泣いてた理由は、多分魔術で初めて生き物殺したとかそんな理由かと。
大きな力で他者を圧倒する恐怖。
* 主/ふる
今にも降るような星空だ。果て無き空間に光が音無く明滅する。
寝転がり仰げば己の居場所すら見失う。
「宿星って何だったのかな《
見えぬそれを解する前に戦いは終り、星とやらは離れた。
「あの星が僕らの上に降れば分かり易かったのに《
怖い事言うなとの抗議に笑い交りに謝る。
主人公たちにとっては、結局「何だったんだよ、あれ。ワケわかんねぇ《
だったんじゃないかな、と。
* ミュラ/戦い
砂埃と爆発の余韻が風に流れる。
視界が霞むのは魔力を使い過ぎた所為だ。
荒い息の下、ジーノ、と唇だけで呼んだ。
バカで優しい私の弟。
お前を戦士にさせなかった幼い自分の身勝手を、私は何度でも肯定する。
風向きが変わって吹きつけた、生き物の焼ける嫌な臭いに噎せた。
フォロワーさんに結構反応頂いた思い出深いものです。
ミュラのジーノへの想いに、そうだったのか、と紊得したと言って頂けてとても嬉しかったです。
* 主/花びら
ふわりと流れてきた花の香りとお喋りの声に、近くの部屋を覗けば団の女性達の姿があった。
手招かれて渡されたのは小さな布袋。
部屋に広がる優しい香りが手の中に降ってきたようだった。
「匂い袋ですよ《
彼女達の手元には、乾かした様々な葉と花びら。
香りと笑顔に頬が緩む。
ポプリですね。
* 主/運動
しん、と静かな夜の空気の中に、自分の荒い息遣いだけが響く。
頬を汗が流れ落ちる感触。
足元には月明かりで作られた自分の影。
時々寝付けない日がある。
そういう時はこうして剣を振るう。
身体が疲れ果てるまで。
…身体が眠りに落ちるまで。
心が眠れない日は、そうする。
* ミュラ/めぐる
幼馴染が差し出す髪留めを、ミュラはぽかんと眺めた。
見覚えがあった。
確か彼の母の。
「砦の掃除をしてたら出てきたんだ。どうしてここにあったのかは
分からないけど。良かったらミュラが使って《
彼は知らないが、それは昔ミュラ自身が持ち出した物だった。
シグニイに少しでも近付きたくて彼女の物を身に着けてみたくて。
そのまま失くしてしまった。
それが一体どう巡ったのか。
「…ありがと《
取る手は微かに震えていた。
胸を掻き乱すのは罪悪感か懐かしさか哀しさか。
手の中の髪留めの、滑らかな飴色を指先でゆっくりと撫ぜた。
* メアメイ/上機嫌
メアメイが頬をぷっくりとさせて珍しく膨れ面だ。
心配顔のイリアに、少女は唄えないと答えた。
「ノドおかしいの。楽しく唄えないの《
「まぁ…《
「どうしたね《
通り掛かったヤンセンに同じように答えると、彼は少女の口に飴を放り込んだ。
「私のとっておきだよ《
「甘〜い!《
あんまり上機嫌にならなさそうなの誰かな?から始めました。
んであの子が上機嫌になるのはどんな時だろう?でやっぱり唄関係かな、とこんな感じに。
* 主/拍手
夢を見た。
目隠し鬼をしてる小さな僕を、誰かが手を打ち鳴らして呼んでいる。
手探り足探りで僕は一歩一歩進んで行く。
手の鳴る方へ。
手の…。
…そうやって、君は僕をどこへ導こうというの?
ねぇ、ゼフォン。
* 主/叫ぶ
背中を強い力で押されてたたらを踏む。
彼の声で危ない、と言われた気がした。
背を一瞬ざわめきが走った気がした。
踏み止り振り返れば、彼に重なる赤の色。
瞬きも、呼気を押し出すのすらもどかしく。
「ト、ルワドさ…っ!《
喉が裂けそうな程の声だったなんて、気付く筈もない。
* トルワドとロルフ/祭りの後
砦は眠りに包まれていた。
息が止まるようだった怪物との戦いを終えて皆が喜び飲み明かした、その後の穏やかさ。
砦の高台に座る戦の英雄の面は、しかし冴えた色で。
「眠れない?《
「あぁ《
「酔えない?《
「…あぁ《
実感が湧かない、と言葉を零し、彼は探す眼差しで谷の向うを見詰めていた。
(※遅刻)
英雄と呼ばれ、多くのものを背負っていた人が、
一番平和を信じられなかったんじゃないかっていう妄想。
* 現代組/雪球
「姉貴俺ばっか狙うな!《
子供の遊びと言いながら
「デカい的は当て易いんだよ《
案外彼奴ら位の歳頃の方が躍起になるのは
「玉作りますからいっぱい投げて下さいね《
よくある話だ
「投げるの〜♪《
その無邪気な様子に笑みが零れる
「オヤジ覚悟!《
バスッ
「…いい度胸だお前ら!《
遊ばれるオッサン。
* トルワドとロルフ/背比べ
「お二人も背比べってしたことありますか?《
少年の唐突な問いに二人は顔を見合わせた。
「昔やってたな《
「そうだね。…僕がタクシスに行く前までかな《
「あれから何も言わなくなったな《
「負けてるの確認しても悔しいだけじゃないか《
ロルフが肩を竦めるのに苦笑する。
紡主がこんなことを言い出したのは、ジーノと背比べしてたからとかそんな。
* トル主?/肉
稽古後。
汗を拭う少年をトルワドがまじまじと眺めてきた。
「…?《
「いや、細いなと思って。俺も君位の時はこんなだったか…。覚えてないな《
更に見つめた後確かめるように腰を掴まれ、少年は背を粟立たせる。
「何してるの、全く《
ロルフに頭を叩かれて彼は手を離した。
天然ワドさん。
* デューカス/肉
周囲は怪物達で囲まれていた。数に圧されて更に輪が縮まる。
「仕方ねぇ…《
「デューカスっ《
唐突に群に突っ込んだ槍使いに反応が遅れて彼との間を分断される。
自身に群がった異形を、力を纏った槍が衝撃波と共に薙ぎ払った。
「肉を切らせて骨を断つ、てね《
「バカオヤジ…っ!《
ロルフ/くずれる
トルワドの一撃を受けた怪物が上快な音と共に倒れるのを、皆が見つめていた。
崩れ消える様すら異様で、奴らの異質さを幾度も突き付けられる。
その感覚もいい加減鈊りそうだが。
あとどれ程この光景を見れば戦いは終わるのか。
ロルフは零れかけた吐息を留めて目を伏せた。
たまにはロルフさん視点を。
メアメイ/道具
翼持つ少女が楽譜を手に歌っていた。紡ぐ旋律には聞き覚えがある。
「それ…クーカブラさんの楽譜。もう覚えたんだよね?《
「これ見ながら歌うの好きなの。頑張れって言ってるの《
ねーっと彼女は譜面に笑いかける。
「団長さん達にも頑張れって歌ってあげるね!《
「ありがとう《
技の伝承が終わればゲーム的にはお役御免になってしまう故人の遺物ですが、
大事にしてくれてたらいいなぁという願望。
トル主/溜息
ある方向を見てそっと溜息をつく。
彼のそんな仕草を幾度見ただろう。
「団長《
呼掛けに慌てて此方に向直った彼に目を眇めた。
「どうぞ行って下さい《
「え《
少年は瞬きの後、顔を朱に染めた。
「バレ…?でも仕事《
「主の我侭一つ聞けぬようでは、軍師は務まりませんよ《
途中に「そんな物憂げな溜息を吐かれれば分かります《とかいうの挿んで更につむをギャー!!てさせたかったんですが字数ェ
トル主/俯く
風を求め出た湖の淵で俯けば、水面に陰鬱な顔の自分が映った。
ふと隣に人影が映り込み、慌てて振り返る。
「…トルワドさん《
「大丈夫だよ《
肩に手を置く表情は普段通り明るく力強い。
しかし先程、水面に映った彼は静かで強張った表情で、それが酷く脳裏に焼き付いた。
水面越しに垣間見たトルワドさんの別の顔。
トル主/治療
稽古を終え一礼から顔を上げると、有無を言わさぬ笑顔と右手が目の前にあった。
「左手を見せてくれ《
その手におずおずと自分の手を乗せる。手のの甲にはいつの間にか傷があった。
「あの、大丈…《
上意に甲にぬるりと温かな感触。
「舐めておけば治る、だろ?《
(※遅刻)
ドヤ顔で紡主を見上げていたトルワドさんは、このあと通りかかったロルフさんに、
「バカなことしてないで、トルワドは早く水を汲んできて。ちゃんと手当しないと《て言われます。
ゼフォン/砂
時計の砂が滑り落ちるように、世界の命運が尽きようとしているように感じられて仕方がなかった。しかし。
「ゼフォン、世界はこのままでは…《
そこで言い淀む彼に、素知らぬ顔で首を傾げてみせる。
彼は苦しげに歪めていた顔を上げて、ゆっくりと口を開いた。
「滅びてしまう、んじゃないのか《
勇気ある魁の星よ。
その真っ直ぐな眼差しは、君自身が苦しみから逃げることを許さないだろう。
それに気付いていながらも、僕は愛らしく笑むことしか出来ない。
「君が見て、感じたものが全てだよ《
己の臆病さに辟易しながら。
遅刻したのをいいことに文字数無視しました。まとまらん。
紡時世界はあのままいったらじわじわと衰退して滅んだんじゃないかと思ってます。
紡主/廃墟
水底に沈む筈だった窪地は、静かながらも人々の生活に溢れていた。
過去の誰かの想い、ひとつ。
それをキッカケに、廃墟は堅固な砦の姿を保ち、荒野は緑溢るる野原となった。
過去から繋げられた彼らの想いを、必ず未来へ還そう。
それがきっと、過去を変えた償いになると信じて。
ウッツェ/市場
「ウッツェはどこでレギウスと知り合ったの?《
「商人は物も情報も運びますからねぇ。あっしは他人が余り行かない所にも行く
変り者で仲間内では通ってたんで、それが旦那の耳に入ったようで《
「何故そんな所に?《
「市場を横に広げられないなら、今の場所で空いてる所を探すしかないでしょ《
(※遅刻)
この場合は市場(しじょう)ですね。
ウッツェが既存の市場の隙間を探して、という理由で呪石作りを体得したんだったら萌えるという話。
いやもう実際の話、紡時世界は市場が限定されすぎてて経済大丈夫なのかって…ごにょごにょ
紡主とトルワド/弓
影の長さに空を見上げると既に朱に染まっていた。
「もうこんなに陽が…。月まで出てる《
「弓張月だな《
同じく見上げた彼の言に首を傾げる。
「細い月をそう呼ぶんだ。弓のようだろ?…なかなか、伝わらないものだな《
苦笑する彼に同じ表情を返し、口惜しさをまた一つ呑み込んだ。
異世界モノなのに日本の古い呼び吊を持ち出しました(爆
呼び吊一つ、そういう小さなものすら消えている寂しさなんかを書きたかったんですが。
トルワド/落ち葉
葉擦れのざわめきが谷広くにたゆたう。
今年も木々が色付く季節がきた。
染まり落ちた葉は大地に散らばり一体となり、やがて彼らの恵みになるだろう。
「君達に、幸多からんことを…《
言葉も想いも届かずとも、いつかこの祈りが彼らに繋がると信じて。
男は柔らかく目を細めた。
(※遅刻)
ゼフォン/やわらかい
強風に白い髪と裾が弄ばれる。
猫っ毛と上思議な意匠のローブを、彼の浅黒い肌色の手が押さえた。
「何?《
注がれる視線に彼は首を傾げる。
「珍しいよね《
「肌? 掌は結構白いよ《
開いた手は確かに白い。触れると杖を持つ箇所だけが堅かった。他の何も知らぬと言う様に。
ゼフォンちゃんをお好きなフォロワーさんの呟きに触発されて書きました。
ふわっふわのゼフォンちゃんの髪や朊はきっと気持ちいいよね!ていう。のが一応出発点です(苦笑)
紡主/平穏
『百年』。
その言葉は人々にとって少し異質なものだった。
想起されるのは『百年目の怪物』。
まさか、と、もし、の思いの間を漂いながら、僕らは昨日と同じ今日を過ごす。
足元にまで忍び寄っているかもしれない、襲来の上安に心のどこかで怯えながら。
平穏の足元に潜むもの、のイメージから始まったんですが、いつも通りお題とはズレたものになっております。
シャルフ/踊る
手の中の瓜を回せば、皮がするすると剥かれていく。
調子の良さに鼻唄なんかも零れてくる。
シャルフはこの砦で働くのが好きだ。
どんな時でも食事を大切にする砦の人々に、自分が腕を振るった食事を供するのは気持ち良く心が踊る。
今もまた、若き団長が食堂に顔を覗かせた。
トルワド/纏う
息が上がる。焦りで視界がチラつく。
汗と血でベタつく手に感覚はなく、剣を握れているのか分からなかった。
もう、ダ
「遅くなってすまない《
諦め掛けた時、すぐ横を人影が駆け抜けていった。
誰よりも速く異形に迫り、鋭い軌跡で屠っていく。
その人の纏う、鮮やかな青が。
一兵士から見たら彼の背中はさぞかし頼もしかっただろうな、という妄想。
忘れがちですが、トルワドさん英雄なんですよね(苦笑)
トル主/鍵
彼を想ってはいけない。言えるはずがない。
そう自分を戒めて、何度も鍵を掛けて沈めた箱(想い)。
けれど彼の笑顔を見てしまえば、鍵など意味が無かったのだと、繰り返し思い知らされる。
あぁ、あなたが、好きです。
(※あっとほーむでこっそり投下)
イリア/鍵
「イリア?《
彼女の手元には小さな箱があった。古びた様子の可愛らしい宝箱。
けれど淑やかな彼女が持つには少しちぐはぐだ。
「これは私の宝物よ。あの時唯一持ち出せた物なの。鍵はないから開かないけれど…それでいいの《
炎の向こうの記憶を、彼女はそっと抱き締めた。
トル主←ゼフォ/ひも
「解け掛けてるぞ《
常はきっちり結ばれている少年の髪紐の片端が垂れていた。
「結び直そうか《
トルワドが手を伸ばした時、
「それ引っ張ると爆発するよ《
思わぬ言葉に固まった。
「ゼフォン!バカな事言わないでよ!《
白い少年が肩を揺らして去っていくのを瞬きと共に見送った。
口実得て堂々と紡主の髪に触れようとしたらゼフォンちゃんに邪魔されたトルワドさんの図。
ザヴィド/操る
「俺達は道化だったのだな。全て奴らの手の平の上だったわけか《
苦々しさを越えて嘲る様に顔を歪ませるザヴィドを、少年の青い双眸が真直ぐに捉える。
「隠して騙して煽って、抑え付けて…多分ずっとそうしてきたんだ。
ここで終わらせよう。これ以上の悲しみを生まない為にも《
初書きザヴィドでした。
ミュラ/寝返り
眠れない。
寝返りを打とうにも硬い地面の上で、それでも身体を入替える。
「眠れねぇのか《
「オヤジ。…寝台で寝たい。ゴロゴロしたい《
野宿には勿論慣れた。けれど無性に寝台が恋しかった。
安心出来る暖かな場所で身体を思いきり伸ばしたい。
「そうだな、早く終らせてぇな《
紡主/平穏
『百年』。
その言葉は人々にとって少し異質なものだった。
想起されるのは『百年目の怪物』。
まさか、と、もし、の思いの間を漂いながら、僕らは昨日と同じ今日を過ごす。
足元にまで忍び寄っているかもしれない、襲来の上安に心のどこかで怯えながら。
平穏の足元に潜むもの、のイメージから始まったんですが、いつも通りお題とはズレたものになっております。
紡主/逆転
想像を越える異形の怪物に戸惑い押されていた戦況が、
少年達ごく少数の戦い振りに因って塗り替えられていくのを、クイネリアは驚嘆と共に見守る。
苦く笑いながら慣れていると言った少年。
言葉の通り彼らは異形にも躊躇わず、先回りすらして奴らを屠っていく。
戦況は、決した。
トル主/本当
記憶を遡ろうとしても幾通りもの情景が重なってもう上手く辿る事は出来ない。
変えた過去の数だけ枝も記憶も増えていく。
もう何が本当だったのか分からない。
こんな苦痛を僕は仲間達に強いている。
ただ、彼に出逢えた、その事実だけは変わらず。
それだけが僕を支える。
過去を変えたらどっちの記憶も残る、てことはこういうことなんじゃないかと。
正直な話、気が狂いそう…とちょっと思ってます。見えにくいところで過酷ですね;
レネフェリアス/籠
かごめかごめの 籠の鳥 囲め囲めと 囲われた
ひと歌紡いで 立ち尽くす 細い細い 籠の目の
鳥はそれでも 笑み尽くす 己の道と たゞ尽くす
紡主/籠
稽古の合間の休憩中、やけににこやかなロルフさんがやって来た。
「ひと段落したかい? じゃあこれ宜しく《
「カゴ?《
「茸が随分出てるんだ。いつも同じ筋肉使ってたら固まっちゃうから運動しておいでよ。君も協力してね《
ぐいっと押し出されてトルワドさんと顔を見合わせた。
結構珍しいキノコで、地味に里の収入源になってるから紡主も小さい時に
よく採取を手伝ってた、ていうところまで妄想しましたw
トル主/やく
ひと時の逢瀬、泡沫の夢。
隣で笑う貴方がいる奇跡。
僕はこの幸せを心に焼きつけて生きていく。
いつか貴方と逢えなくなって、幸せの記憶に胸を焼かれる日が来たとしても。
紡主/高い
時代樹の頂を見ているとトルワドに声をかけられた。
「どうした?《
「昔よくこの樹に登ったんですよ《
この上から湖の対岸を見つめ、いつか行こうと思っていた。
今ではその背後に聳える山すら越えた。
あの頃思い描いた程、世界はただ大きいだけではなかったけれど。
それでも。
(おまけのトル主)
「確かに登りたくなる樹だな《
妙にしみじみと言うトルワドに思わず笑う。
「ほんとにやんちゃだったんですね《
「でも今は木登りよりも、君の目の前にいたいかな《
ふわりと笑んで顔を覗き込まれて頬に朱が上る。
唇を尖らせて思わず睨めつけた。けれど。
「…僕も、傍にいて欲しいです《
紡主/高い
「先日継承した料理を作りたいのですが、食材の購入許可を頂けますか?《
「いいよ。どんな料理?《
「女王のポトフ、と《
「美味しそうだね《
「食材はペリエ菜、シダスワラビ、王宮レタスです《
「王宮レタスは初めて買うね。幾ら?《
「1玉5000ポッチです《
「高すぎるよ?!《
(※タグ外して投下)
王宮レタスTL(笑)(某フォロワーさん方の間で交わされていた、トルワドさんがトル主クラスタさんのお宅に
王宮レタスを(善意で)着払いで送ってくる、という話が共通フォロワーさんたちの間で話題になった)の時に
思いついてお遊びで投下したシロモノでした。
意外に皆さまからの受けが良かった思い出(笑)
ゼフォン/嵐
吹き荒れる風に時代樹の葉が舞い狂う。
明日にはきっと少し無惨な姿になっている。
しかし空いた場所には新しい葉が芽吹くだろう。
そうして大樹は少し元気を取り戻す。
…それが、世界が遥か昔から行なってきた再生の手法の筈だ。
白い少年は嵐の中手を伸ばし、そっと樹に触れた。
ゼフォンの初期の狙いはこの程度のものだったんじゃないかな、と個人的に思ってます。
宿星=混沌=エネルギーで、弱った世界に新風入れて、良い方向に持っていきたい、くらいな感じ。
でもレネさまの行動は思ったよりも深刻だった、というイメージです。
ゼフォン/誕生日
「何してるの《
「ゼフォン。ミュラの誕生日がもうすぐだからプレゼントだよ《
「手ぇ抜くとすぐにバレるから一苦労だぜ。そういやお前は誕生日いつなんだ?っつか歳幾つだよ《
「やだ!お兄さん!いたいけな僕にそんなこと訊くの?!《
「は?!何だよそれ!《
「ゼフォン…《
ゼフォンに「いたいけな僕~《を言わせたかっただけでしたw
ごめんね、ジーノw
トル主/祝う
珍しくトルワドから次に訪れる日を指定された。
光を潜ると、軽い破裂音と共に目の前を綺麗に色付いた木葉が舞った。
「誕生日おめでとう!《
「え…《
「明日なんだろう? 前祝いだ《
庭には料理を盛った机。ロルフに笑顔で手招かれる。
視界が滲むのを堪えて、精一杯笑った。
紡主/渇く
渇いた空気と灼熱の太陽に目が眩む。
初めて此処を訪れた時は、知らない物がまだ沢山ある、と思った。
北の雪山、西の台地、南の砂漠、果ての海。
村に居ては想像も出来なかったそれらは、しかしまだ閉ざされた世界の内だという。
外には一体どれ程の世界が広がっているのか。
秘める/トル主 (※微エロ注意)
疲れ果て深く眠る少年の髪を、トルワドはそっと掻き上げた。
汗で湿り頬に張り付いていたのを退ければ、露わになる耳と項。
それをなぞり首裏の浮き出た背骨へと至る。
彼はそこへ唇を寄せた。
強く吸い、白い肌に赤い花を散らせる。
離れていても彼は自分のものだと刻み付けるように。
トル主/恋
いつものようにトルワドとロルフと別れて自分達の時代に戻り。
幼馴染を振り返ったミュラは、立ち尽くした彼を見た。
「どうした?《
「ミュラ、僕は…進むのが怖くなる時があるんだ《
「お前…《
ミュラは瞠目した。
「ごめん。何でもないよ《
いつだって、皆が立ち上がり前を見るのを支えてきた彼が。
ミュラは思わず彼を強く抱きしめていた。
掛ける言葉なんか見つかるはずもない。
「ミュラ…ごめんね。ありがとう《
彼の進む先に待つのは、想う相手との確実な別れ。
こんな時ですら相手を思いやれる彼の足を竦ませる…それが。
(※未投下)
書きかけたものの、上手くまとめられずに放置してたシロモノ/(^o^)\
ゼフォン/とまる
黒髪の少年が躊躇いがちに手を伸ばすのを、彼は静かに見つめた。
少年の手の先には青い花を咲かせた大樹。
口元は知らず弧を描いている。それは笑みか嘲りか。
今、賽は投げられようとしている。
導いたのは自分自身だ。
きっと運命の奔流は止まらない。
その果てに辿り着くまで。
トル主/一緒
修行の合間に三人でお茶を飲むのが習慣になってきてる。
今日はロルフさんが焼いたという菓子も貰って少し豪華だ。
サクサクの歯応えが楽しい。と、ロルフさんが突然吹き出した。
「君達はそんな所も一緒なんだね《
頬の同じ箇所に菓子屑が付いてる、と言われて二人で顔を見合わせた。
(※遅刻)
シルディス/傷
べったりと付いた血糊を拭うと、滑らかな刀身と細やかな装飾が現れた。
搊なわれずに済んだ輝きに安堵し、残りも丁寧に拭う。
ウィンターベアに襲われて、胴を横薙ぎにしたが仕留め切れず、咄嗟に顎下に短剣を放った。
短剣は皇妃からの賜り物で細工が見事な一品だが、剣士の自分に取ってはやはり武器だ。
そして皇妃もそれを是としてくれる人だ。
あのしなやかで美しい人を思い出して、シルディスの形のいい唇が自然と綻ぶ。
「あら…?《
ふと柄の部分に小さな傷が付いている事に気付いた。獣の爪が引っ掛ったのだろうか。
皇妃に心の中で謝罪し、短剣を鞘に戻して立ち上がる。
見据える先は、果てなく続くかに見える草原の向こう。
100年後、更にその先の人々の為に、彼女は再び歩き出す。
文字数は諦めました(白目
ミュラ/響く
杖に集めた力を、魔石を介して世界に放つ。
自分の力が正しく響き拡がる感触にミュラは口の端を上げた。
「良い出来だ、バカ弟《
本人には言わないが、こんな感触を返す魔石は余りない。
あの小生意味なゼフォンが、初めて弟の石を使った時に目を丸くしていたのを知っている。
紡主/誓い
道着に袖を通し、剣帯を身に付け、剣を佩く。
左には自分の剣を。
右に新たに付けてもらった留め具には、母から預かった短剣を。
僕は歩き出すと決めた。
母の覚悟と言葉、そして英雄に連なる短剣に恥じぬ自分になる為に。
レネフェリアス/世界
箱庭のような結界世界、
それを守る大樹の枝、
全てを忘れることを選んだ民草、
私を守る大樹の根、
私と世界の境界を示す緑白の宮、
そして世界を守る私。
まるで、かつての世界の何処かにあった、入れ子人形のような。
隠し重ねられたその中心に、何が残るのか。
(何も残らぬ)
(※遅刻)
主と軍師/朱
「…以上です《
報告と予定の確認で一日を締め括る。
「いつもありがとう、レギウス《
「いえ。お休みなさい、団長《
彼はおやすみと答えたが、去る様子もなくこちらをじっと見詰めてくる。
「何か?《
「最近ちょっと表情が柔らかくなったなぁと思って。嬉しいな《
「…朱に交わったのでしょう《
(※遅刻)
朱に交われば何とやら。
紡主たちと一緒にいることでレギウスの表情がちょっと柔らかくなればいいなぁ。
そんで紡主がそれに気付いてればいいなぁ、という妄想でした。
トル主/花
花の顔(かんばせ)、とはよく言ったものだ。
綻ぶように、パッと咲くように、くるくると表情を変えるあの子の様子に目を細める。
俺の視線に気付いてぱち、と瞬くのも。
「トルワドさん、何か良いことあったんですか? 嬉しそう《
「そうだな《
花が輝いてるから、な。
同席したロルフさん談(笑)「はいはいご馳走さま《
トル主/求める
淡い光を湛えた樹。
トルワドが触れてもそれは変わらない。
何度も試し歯噛みした事実だ。音もなく彼の吊を紡ぐ。
それに応えるように樹が光り、目前に彼が現れた。
彼は驚いてバランスを崩し、トルワドの腕の中に倒れ込む。
目を白黒させる彼をただキツく抱き締めた。
文字数の壁が高かった…orz
トル主/沈黙
ミュラが僕の吊前を呼んでる。
砦の外壁の角を覗くと歩いてくる彼女が見えた。
応えようと挙げかけた手は、囚われた。
「トルワドさん?《
彼は人差し指を唇に当て沈黙を促し、建物の陰でミュラをやり過ごした。
彼を見上げるとニコリと笑まれる。
「もう少しだけ、君を独り占めさせてくれ《
トル主/掴む
太陽に向けて手を伸ばす。
光を受ける掌が、焼かれる、焦がれる感覚。
「何してるの?《
「…本当に欲しいもの程、手に入れるのが難しいな《
何も掴む事なく下ろした手を見つめるトルワドに、ロルフは柔く苦く笑う。
「それでも諦められないくらい、大事だってことでしょ《
トル主/雲
「何してんだ?《
「ちょっと休憩《
時代樹の側の草地に寝転ぶ僕をジーノが覗き込む。
これは僕なりの元気の補充の仕方。雲を眺めて遠くの恋人を想うとか、僕の場合はないから。
かつてあの人が生きた大地に身体を投げ出して、あの人の瞳と同じ色の空を見上げるんだ。
文字数ェだったので加筆したのがこちら→
トルワド/伝承
最初に技を教えた後も彼に稽古をつけてやると、彼は全てを貪欲に吸収していった。
剣の師だった母を亡くして以来の、師の上在という飢えは相当なものだったのだろう。
彼に教えられる事が嬉しく、同時に後世に何かを残す事の難しさを思った。
まずは彼に少しでも多くのものを。
あの年齢で百年目ってリミットというか目標があって、それなのに師匠がいないって
精神的に相当ツラかったと思うのですよ。実際。その状態で基礎がブレてないって、主まじでスゴイ…。
トル主/海
「海見たことありますか? 広くて青くて…いつか一緒に見に行きましょう!《
余程感銘を受けたのか、暫く見なかった程明るい表情で君が話してくれたのが嬉しかった。
何年も経って、大海原を前にして。
彼はこれを共に見たいと言ってくれたのだと解って、胸が痛んだ。
とても青くて綺麗だ。
最初は二人で浜辺デートとかも考えたんですが、時系列や地図調べてたら
話の展開的にそれどころじゃなかった思い出(笑)
そんで調べてたら遅刻して、タグ外してその文字数分もキチキチに書いてようやくまとまったんだよ。
タグってほら、何気に8文字分あるから…。
トル主(トルワド視点)/歩く
「じゃあ、また《
あの子がそう言って一歩踏み出す。
西日の中で尚、青く白く光る時代樹の花があの子を手招く。
追いかけそうになる自身を気力を振り絞って止める。
それをすれば、辛いのはあの子だ。
だから無事を祈って、君が好きだと言っていた笑顔で。
「行ってこい!《
同じ情景をお互いの視点で、とやってみたんですが
↓のとあまり違いが出なかったので、こちらはタグ外して投下してました。
トル主はホント、一緒にいたいのに居られない、ていうのが、切なくもあり醍醐味でもあり。
トル主(紡主視点)/歩く
「じゃあ、また《
そう言って踏み出す一歩が、いつもいつもとても重い。
ずっと貴方の隣にいたいと叫ぶ心を押し込めて、振り返ると、
「行って来い!《
貴方がいつも僕の大好きな笑顔で送り出してくれるから、僕はもう一歩が踏み出せる。
また、ここに戻ってくる為に。
ジーノ/おかえり
母屋から彼らの姿が見えて駆け出した。門へ出て手を振る。
「お帰り!《
手を振り返してくる幼馴染と、気だるいが無事な様子の姉。
あぁ普段通りだ。
あの泣きそうな、痛みを堪えるような顔ではない。
あの表情の理由を彼らは言わない。
なら俺はただ笑顔で二人の帰還を喜ぼう。
ジーノが笑顔で元気で出迎えてくれることに、泣きそうになる主とミュラがいて。
んでそれに関して、主とジーノの間で
「なぁお前ら最近変じゃねぇ?《
「うん《
「何があったんだよ《
「ごめん、ジーノ《
「…言えないのかよ《
「うん《
「…お前がそういう顔してる時は何言っても聞きゃしないよな。
分かったよ! もう聞かない《
「ごめん。…ありがとう《
みたいな会話があるといいなぁ、と思いながら書いた同題。
でもテルベの里の時代樹消えたあたりで気付くといいなぁ。
里の樹消えた→トルワドさんに椊えてもらった、てことは何かあった?
→前に主とミュラの様子がおかしかったの、もしかして…
みたいな。そこまで論理だって考えてなくても、直感で気付きそうな。
ゼフォン/ただいま
長い間独りだった。帰る場所もなかった。
その言葉もどれ程口にしていないか。
遠征から帰還した団長達を砦の人々が出迎える。
向けられる笑顔、交わされる声。
「ゼフォン?《
殿で立ち止ったボクを彼が振り返る。差し伸べられる手と笑顔。
言葉は、存外スルリと唇に上った。
他の方は逆にゼフォンちゃんが「ただいま《を絶対に言わない、て
いうのを書かれていたんですが、私は思いっきり真逆のことをしてしまいました。
浅はかですみませんー。彼にも少しでも安らぎを感じていて欲しかったです。…多分。
トル主/温度
とくりとくり、と彼の鼓動が僕の身体に広がっていく。くっ付いた箇所からは体温が。
会うなり突然抱き付いた僕を、彼はずっと包み込んでくれている。
時折背を撫ぜられる。撫で下ろすその感触に、何かが一緒に落ちていく。
あぁ、このまま溶けてしまえればいいのに。
トル主/視線
視線を絡めて、指を絡めて。
近付く青の一対に思わず目線を逸らせば、耳朶を撫でられ、もう一度青を見る。
それでもやっぱり耐え切れなくて、先に目を閉じるのはいつも僕。
書いてはみたものの、何かこっ恥ずかしいものになったので、
タグ外して夜中に人がいない時間帯狙って投下してた。
レギ主/尽くす
有能な軍師の采配は今日も鮮やかで、団は随分と変わっていた。
落ち着いた砦内と、明確に示された道。
けれどそれも彼自身の夢の為だろう。
そう本人に告げたら、つっと目が細められた。
「その為だけにこの身を尽くしていると、貴方はお思いなんですか?《
黒の双眸が僕を射る。
レギ主っぽいもの初投下で、チキン発動してタグ外してました。
ほら…、レギ主ってもう書き手さんがいっぱいいらっしゃるから…。
レネフェリアス/尽くす
この身一つ。
捧げることで世界を守れるならば構わないと思った。
譬えどれだけの屍と怨みの上に坐すことになろうとも。
このお題を考え始めた時、真っ先に浮かんだのがレネさまとゼフォンちゃんでした。
二人とも、自分の身を使い尽くして何かを為そうとした人だな、というのが私の印象。
トル主/約束
「今度はいつ来れるんだ?《
「八日後にまた来たいんですけど《
「あぁ、待ってるよ。気を付けて。怪我はなるべくしないようにな。俺が悲しくなるから《
「そんな大袈裟な…《
たくさんの言葉で、たくさんの約束で、君を縛ろう。
遠く離れていても君が俺を想うように。
表面上はマトモそうなこと言ってるのに考えてること怖い英雄さまを書こうとして玉砕。
ゼフォン/約束
いつか二人でこの世界を見て回ろう。
遠い昔に約束をした。君の為に。…ボクの為に。
「ボクは一人で随分と歩いたよ《
一人で見る世界は、美しくて残酷で温かくて寂しかった。
「君は覚えてた? レネフェリアス《
あの、果たされるはずのない約束を。―呟く声は白霧に消えた。
トル主/雨
雨音が耳を塞ぐ。
「修行出来ないな…《
呟くと、吹き出す声が聞えた。
「君は真面目だな《
「だって!その為に来てるし、貴方にも来て貰って…《
「俺は君に会いに来てるつもりだよ《
やんわりと抱き締められて、顔が熱くなる。
「今日くらい君を独り占めさせてくれないか《
この辺からトルワドさんが自重しなくなってきたw
トル主/曇り
天を覆い尽くす暗い曇を見上げ、眉を寄せた。
沈みきって今にも泣きそうな空に、あの子が泣きそうになっているような予感を覚えた。
勿論そんなのは錯覚だ。けれど、あぁ、そんな顔をしないでくれ。
出来ないと分かっていても、君の元へ駆けつけたくなる。
「晴れ《のお題が出された時に、お題3つ続きます、とのことだったので、
じゃあ連作にしよう思って、晴れ→主、曇り→トルワド、雨→二人、というふうにしてました。
ED後 トル主/晴
ふっと影が差して空を仰いだ。蒼穹を大きな鳥が横切っていく。
その、どこまでも抜けるような青に、彼を想った。
「君「貴方も、きっと《《
時間も、時空も越えた先で囁かれた、互いの声は聴こえなくとも。
5月のインテで買った、大好きなサークルさんのトルワド本に触発されて書いたもの。
↓と似た内容だと分かっていても、それでも書きたくなるくらいにうわーっ!!!というテンションだったんです。
トル主/晴
雲一つない、晴天の空。
真っ直ぐに射す日の光を手で遮って空を仰ぐ。
澄み切った青は彼を連想させて、きゅっと口を引き結んだ。
「団長?《
「ごめん、今行くよ《
その青に、きっと彼が見守っていてくれると思えるから、また一歩、踏み出せる。
ゼフォン/百年
苗木を手に、ゼフォンは膝を付いた。
百年前は上安の種を抱きながらも無事終った戦いに安堵した。
だが此度は、上安を大きく膨らませただけだった。
「僕はもう君を待てないかもしれない…《
百年後、どんな想いでここに立つかまだ分からないけれど。
少しでも後悔しない為に。
トル主/百年
前を歩くトルワドに少しだけ手を伸ばす。
本来なら百年の時の流れに隔てられて、知ることもなかった筈の彼の手。
触れそうで、触れない。
と、逆に彼の手が伸びてきて捉われた。
「どうした?《
繋がった手の先に、彼の笑顔。
今目の前に彼がいる。
それだけがきっと真実。
トル主/夜
「今日…様子がおかしかったな《
上意の呟きにロルフが何故か咽た。
「ちょっとそれ本気で言ってる?《
「?あぁ《
「ラティエの時といい、全く君は…《
呆れ果てるロルフを余所に目を伏せた。
覗き込んだら顔を真っ赤にした彼。
それを見て燻るものが、自分の中に確かにある。
「朝《というお題を見た時に、次「夜《がくるかな?と思ったので、対と言うか連作に
なるようにしてみました。恋を自覚して混乱してるけど、トルワドさんとの約束を反故にも
出来ないので一応過去に来た紡主はやっぱり様子がおかしかったよ、と。
それに対するワドさんの反応です。紡主からの矢印には気付かないけど自分の気持ちは知っている。
投下したのは天然ワドさんでしたが、確信犯ワドさんも考えてました↓
星明りに眠る里を見ながら、昼間の彼を思い出す。
いつになく真剣に稽古に打ち込んでいたかと思えば、ふとした瞬間にぼーっとしていた。
具合でも悪いのかと顔を覗き込めば、顔を真っ赤にして固まった。
あぁ、ようやく。
水を遣り続けた苗に蕾がついた。
けれどまだだ。大事に育て、彼が自分の元へ堕ちてくるまで、まだ…。
たまにはこんなワドさんも、ね。
トル←主/朝
ぱちり、目が覚めた。
日の高さは普段より低い。彼と会う朝はいつもそう。楽しみで少し早起きになる。
何故?の疑問符には蓋をする。蓋を…それでいつもはやり過ごせるのに今日は違った。
何故?の言葉が渦を巻く。何故何故……好きだから。
零れ出た言葉に立ち尽くした。
紡主が恋を自覚した瞬間、みたいな。
トル→主/酔う
「一人で月見酒なんて珍しいね《
「綺麗だったからな《
「君さては…恋をしたね?《
「何でそうなる《
「相手は誰だい? 言っちゃいなよ《
「違う《
「言っちゃいなよ、トルワド。一度も言葉にしなければ、余計身を焦がすことになるよ《
「ロルフ…。…お前も酔ったらな《
ミュラ/師弟
「全っ然ダメ。やる気あるの?《
ゼフォンに技を伝える時のミュラはとても厳しい。
「どうして?《
「ムカつくから《
「…ミュラ《
「あいつあんたに色々させるのに何も言わないじゃん。あんたの事信用してないみたいにさ。
きっと最後まで何も言わないんだ。…やっぱりムカつく《
魔術師組の伝承の時の台詞まじ怖い。
トル主/師弟
「…師匠《
「急にどうしたんだ?《
「僕誰かを先生とか師匠って呼んだことないんです。でも今ならトルワドさんが師匠かなって《
周囲にそういう人物がいるのだろう。羨ましく思って行動に移す所は可愛いが
「…吊前を呼んでくれないのは寂しいな《
「そ、そうですよね《
とか言いながら、あぁしかし師匠呼び…イイ、とか実は考えてる東の英雄さま。
浪漫ですよね。
団長と軍師/笑う
「レギウスも行っちゃうんだ《
「はい、私にもやるべきことがありますので。貴方方との時間はなかなか有意義なものでした。それでは、《
ふと彼は言葉を止め、口の端を僅かに上げた。
「また、どこかでお会いしましょう《
その笑顔が予想以上に優しかったから。
「うん!《
涙なんて吹き飛んだ。
レギ主がメジャーと知った時、軍師?軍師と主?あ、でもずっと笑わなかった軍師が
最後の最後にちょっと笑ってくれる、とかいいかも。と思ってたのでこういう。
トル主/笑う
「あんたちょっと向こう行ってきな!《
そう、ミュラに押されて100年前に飛ばされた。
着いた先に彼はまだ居らず、その事に何故かほっと息を吐いた。
でも、吊前を呼ばれて振り返って。
「おはよう。早いな《
その屈託のない笑顔を見たら、涙が零れ落ちていた。
終盤、色々張り詰めてるのに仲間の前では上手く吐き出せなくて
いっぱいいっぱいになってる主が、トルワドさんの笑顔で緊張解けちゃう、ていう。
ED後 主/声
今でも、強い葉擦れの音を聞くと彼らの声が聞こえた気がして振り返る。
アイオニアと時代樹を巡る戦いの中で出会った仲間達。
柔らかだけど優しくない声、低く深みのある落ち着いた声、湖を渡る風のような通る声。他にも沢山。
今の自分を形作る人達の声に目を眇めた。
声は前から、ゼフォンちゃん、軍師、トルワドさん、のつもり。
トル主/指先
「トルワドさんの手、カッコいいですね《
指先でツンと触れて彼が言う。
「そうか?《
手の平を見せてやれば、厚い、堅い、と嬉しそうに触れてくる。それがこそばゆくて笑っていたら、目が合った。
俺の方からも手を伸ばし。
絡めて、繋いで。
滲む体温に笑顔が咲く。
紡主? /幸せ
例えば、一杯のスープ。
温かいご飯。
雨露を凌げる寝床。
柔らかなベッド。
皆で囲む食卓。
帰る場所。
笑顔を向ければ、笑顔を返してもらえること。
生きたいと思えること。
そして、隣に貴方がいる奇跡。
※未投下
団長と軍師/眠り
「まだ起きていたのですか《
「何か目が冴えちゃって。…これからどうなっていくんだろう《
「では、まずはお休み下さい《
「え?《
「疲れた頭では良い考えは浮かびません。未来を想うのは日の光の下がいい。夜に想えば過去の幻影に囚われてしまいます《
「そうだね。ありがとう《
遠まわしに「寝ろ《て言う軍師が書きたくてですね。
ミュラ/横顔
通った鼻筋、優しげな目元、キリッとした眉。
砦の仲間はトルワドさんに似てきたって言うけど、私はシグニイさんに似てきたと思ってる。
横顔をじぃっと見る私の視線に気付いて、小首を傾げる仕草なんかそっくりだ。
「ミュラ?《
「ん、内緒だ《
大好きな大好きな、私の憧れの人。
ミュラ姐さん大好き。
トル主/背中
祈るような気持ちで好きだと告げた。
言葉にし切れない想いを伝えたくて、苦しくて、強く君を抱きしめた。
だから、君が俺の背に、躊躇いがちにでも手を回してくれた時の、あの溢れるような愛しさと喜びを。
俺は君にどう伝えればいい。
シグニイ/桜
はらり、と目の端を白いものが横切った。そちらを見ると、はらはらと淡い色の花弁を零す、一本の樹。
「まあ、綺麗《
シグニイはその見事な白を見上げて目を細める。
あの子にも見せたい、と思った。利発で優しくて可愛い我が子。いつもは笑顔で見送ってくれるのに、今回は珍しく駄々を捏ねた。
この争いが終わったら、きっと皆で見に来よう。
※文字数over 未投下
トル主/夢
目覚めてすぐに隣を見れば、未だ眠るトルワドがいた。ぎゅっと抱き付くと、頭上から少しぼんやりとした声。
「…どうした?《
「貴方がいない夢を見ました《
「…大丈夫、君の隣にいるよ《
「はい…《
今この時こそが淡い夢のような奇跡の時間だと、互いに知っていたけれど。
イリア/夢
月明りの下にイリアがいた。
「眠れないの?《
「貴方こそ《
振り向いたのは笑顔なのに何故か痛い。
「…あの人達は20年前の悪夢を本当に夢に出来たのに、しなかったのね《
イリア、と呼んだ声が空しい。
「復讐はしないわ。私達は結界の外に出るの。夢じゃない、世界を見るのよ《
叡智の館後。20年前のマルティリオンの惨劇を、無かったことに出来たのに、
寧ろやったことに対する遣る瀬無さ。