後ろ手に戸を閉めて、テッドはそのまま
凭れ掛かった。
外気同様の冷え切った室内と凍えるような戸が肌に痛い程だったが、テッドはそのまましばらく動かなかった。
この部屋の冷たさは。
孤独ととても似ていた。
細く息を吐きながら、ずるりと床に座り込む。先刻まで居た親友の暖かな家がひどく間遠い。
――テッド。
遠い昔に誰かが言っていた。
――テッド。俺達は孤独に慣れてはいけない。それはきっととても哀しいことだ。
でも、孤独を忘れてもいけないと思う。それも、俺達には必要なものだと思うんだ。
残念だけどね。
吐き尽くした空気をもう一度吸い込み、テッドは立ち上がった。冷た過ぎるそれに肺がキリリと痛んだ。
――でもさ、テッド。だからこそ。孤独を忘れさせてくれるような人にもし会えたら、
その時は、その時だけは、心の底から笑っても、楽しんでもいいと思うんだ。
俺達だって楽しみがなければ生きていけないだろう?と、海を映した目に存外
悪戯っぽい光を
閃かせて、その誰かは言っていた。
確かにそうだ、とテッドは口の端を持ち上げる。窓から漏れ入る月明かりを頼りに灯火を点け
薪を
熾す。
今はこの冷たさを確めて。
時々耐え難くなる程の暖かみに満ちたあの家へ、明日再び出掛けよう。
了
多分2年くらい前の拍手お礼文でした。季節ネタが好きなんです。
(2010/01/03 UP)
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