*読み難そうな漢字には、オンマウスで読みが出るようにしてあります。*
また会う約束
アレンとラビは同じ日に任務に出た。列車と船で大陸に渡り、港で別れる。カモメの声と薄い
靄。黒い団服が白く滲む。鮮やかなはずのラビの赤毛がくすんで見えて、少し物寂しい気がした。
「アレンはギリシャか。そっちのは時間掛かりそうだったから、俺の方が先に戻れるんかな」
「きっとそうですね。ラビのは早く片付きそうでしたし」
「待ってるからさ、さっさと終わらせて帰って来いよ」
声にはいつもの笑みの気配。けれど表情はぼやけている。見えるようで、見えない。それが胸に小さな不安を焼き付けた。手を伸ばせば良いのだけれど、アレンはその方法に気付かない振りをした。
「…努力します」
今己が笑っても泣いても、やはり彼には見えないのだろうか。
「気をつけてな」
「ラビも」
「またな」
「…また」
手を振って別れた。
再会を約束した事等、マナと別れて以来だとふと思った。
復た、会いたい。
練習その2。
(2005/12/14 UP)
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