*読み難そうな漢字には、オンマウスで読みが出るようにしてあります。*
おかえり。
ぴくり、と何かの予感めいたものを覚えてラビは顔を上げた。窓の向こうに見える空はよく晴れていて、風に木々がそよいでいる。読んでいた本にしおりを挟みテーブルに置く。
ラビは寝転がっていたソファから起き上がり、その時を待った。
耳を澄ますと回廊を渡る足音が僅かに聞こえた。ホームに戻ったという安心感からか、普段はもっときれいに消されている気配が、今はその跳ねるような感情すらも読み取れて小さく笑みを零す。
足音が止まり、扉が開いた。覗いた白い頭がすぐにラビを見つけた。
「ラビ、ただいま!」
花が綻ぶように広がった満面の笑みに、ラビは手を振って答える。
「おかえりさ、アレン」
大切な大切な君の、ここが帰る場所。
了
3連作のラスト。
アレンさんは笑顔でラビさんの所に帰って来てくれれば良いな。
でも一番書きたかったのはリーバー班長からアレンさんへの「おかえり」だったり。
(2007/05/28 UP)
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