終わる日

坊=トキ
2主=ジオ







 広間に集う人々、城の内外に感じるたくさんのざわめき。
 高まる機運に釣られてか、自分の拍動も強くなっているのをルックは感じた。当初は閑散としていた城に満ちる人の気配に、目眩すら覚える。
 三年前もそうだった。鬱蒼としていた湖の城に、いつの間にか集まっていた人々の熱意が運命を切り開いた。
 あれと同じことが、また起ころうとしている。
 星とは。…人とは。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ」
 不意に顔を覗き込まれて肩が揺れそうになった。
「トキ…何の用。英雄さまがこんな後ろの方にいていいの」
「今日の主役はジオだからな」
 俺はいいんだよ、と肩を竦めてみせるトキを横目に、ルックは壇上の軍主に視線を戻す。凛とした眼差しで前を見据える少年軍主。
「ついに今日で終わるんだね…」
 ぽつり零れた言葉に隣からは曖昧な肯定が返ってきた。
「一応、な」
「国としてはこれからだって言いたいんだろうけど、僕には関係ないよ」
「そうだな」
 ふいっと顔を背ければ、隣からは苦笑の気配。
 何と言われようと自分には関係ないとルックは決めている。自分は塔に戻って、また静寂の時間を過ごせばいい。…それで良いはずだ。
 胸を過ぎった青い人影と灰色の残影を見ない振りをして、ルックは唇の裏を噛んだ。
「…終わらせなければ、次には進めないよな」
 何を見ているのか、トキが呟いた言葉がルックの耳に奇妙に残った。
 壇上で、ジオが一歩前へ踏み出した。




  了



 ツイッターでお世話になってるフォロワーさんが、大晦日に2ルックアイコンで「今日で終わるんだね…」と呟いてらっしゃったのが元ネタでした。「3ルックで言わせれば良かったなー」「いえいえ2でも美味しいですよ! 2最終戦の前とか!」「いいですね! そんなルックください」「え」とかそんな流れで、ちょうど頭に浮かんでたイメージがあったので突発書き。
 突発で書いた割に気に入ったのでサルベージしてみました。坊とルックは、いっぱい読んだし自分でも多少書いたので書きやすいです。

 坊と2主に名前は、ツイッター上で差し上げた時はノベライズの(ティル、リオウ)にしてましたが、自サイトに上げるにあたって自家のに直し…と思ったけどセオ坊とは微妙に雰囲気が違うので、別の子引っ張り出してみました。

(2013/02/24 UP)

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