*読み難そうな漢字には、オンマウスで読みが出るようにしてあります。*
駅のホームで彼が笑う
うっすらと暖かな秋の終わり。食糧の買出しに出たリナリー達を、ラビとアレンは駅のホームで待っていた。全身に日の光をいっぱいに浴びながら、ベンチに二人並んで座って。ティムキャンピーは陽だまりでまどろむ猫の如くアレンの膝の上で眠っている。
話の発端は確か、最近また何か考え込んでないかとかそんな事。心当たりはあったが隣人に言う気は無く、適当に
相槌を打っていると、不意にラビが顔を覗き込んできた。アレンは驚いて
僅かに仰け反る。目の前で彼の口の両端がにぃっと釣り上がった。
「アレン、恋っていうのは、『恋しちゃうかも』て思った時にはもうしてるものなんさ」
そう、視線を合わせて顔を間近に寄せて細めた片目で、ラビが言うから。
アレンは反射的にその横面を殴っていた。がつっと痛い音がして、右で殴ったから骨がけっこう痛くて、ラビがベンチから転がり落ちた。
「いってー! 何で殴るんさー」
「ラビがバカな事を言うからです!」
怒りか
羞恥か筋肉を一気に収縮させたことによる体温の上昇か、顔が赤くなっていくのを自覚しながらアレンは叫ぶ。
「えー、図星じゃないんさ?」
「違います!」
地面に座り込んだままこちらを見上げてくるラビを放って、アレンは足音高く歩き出した。後ろから名を呼ぶ声が聞こえてくるが当然の如く無視しておく。
きっともう耳まで赤い。
了
練習その1。カプか、コレ?という程度のものです。ま、最初ですので。
「恋っていうのは、〜」云々は、まぁよくある台詞ですが一応某ドラマから頂きました。お昼に食堂のテレビでやってましてですね、「うわー何かラビが言いそうだなぁ。っつかアレンに向かって言って欲しいなぁ」と言うことでこんな感じでした。
(2005/12/14 UP)
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